アフターデジタルにおける「日本版OMO」プラットフォームについて

アフターデジタルにおける日本版OMOプラットフォームづくり
SWF×九州TSUTAYAによるD2Cブランド「STATE OF THE ART」プロジェクトは、アフターデジタルにおける日本版OMOモデルのパイロット事業です。「今なぜSWFと九州TSUTAYAが共同でD2CブランドやOMOに取り組むのか?」その理由を過去の時流を踏まえ解説します。
 
ECのトレンド
 まずは日本におけるECのトレンドを時系列でみていきます。1997年楽天の前身であるエム・ディー・エムの「楽天市場」を皮切りに、1999年の「Yahoo!ショッピング」、2000年に「Amazon」がECサイトをオープン。現在の3大モール型ECサイトがスタートしました。
 
インターネットが広く普及する2000年以降には「楽天市場」や「Yahoo!ショッピング」などのモール型ECサイトだけでなく、自社ECサイトの設立も目立ちはじめ、2010年以降になるとスマートフォンを携帯するライフスタイルが一般化。FacebookやTwitter、Instagram、LINE、YouTubeなどのSNSサービスが一気に拡大します。
 
その後SNSを活用し、ファンの囲い込みや販促、広告手段としてECサイト戦略につなげる事例も増え、ECは「モール型」から「自社EC型」へ、そして現代は「通販(EC)」から消費者に商品を直接販売する仕組み「D2C(Direct to Consumer)」へと急速に移行しています。
 
通販(EC)とD2Cの違い
続いて、通販(EC)とD2Cの違いをみていきます。表面的には同じようにみえる従来の通販(EC)とD2Cも「顧客との関係性」の観点から比較することで相違点が浮き彫りになります。
 
 これまでの通販(EC)は、効率を重視しながら顧客と直接つながる販売モデルでした。通販(EC)においては、「効率を高め、利益創出する」ことが極めて重要とされ、得た利益をさらに効率の良い広告に投資するサイクルによって顧客のLTV(顧客生涯価値)を高めています。
 
コストパー◯◯がKPI(重要業績評価指標)として重視され、効率性によって物事の優先順位が決定され、多少ブランドが損なわれても、効率のよいリスティング、LP、アフィリエイトなどのプロモーションを積極的に実施します。
 
 一方D2Cは、ブランドを重視しながら顧客と直接つながる販売モデルです。従来の通販(EC)では、効率的なプロモーションに利益を再投資していましたが、D2Cは販促ではなく、商品原価や顧客体験を重視した販売のための設備投資などに再投資するものです。
 
「顧客との関係性」を重視し、企画から販売までを自社でおこなうことで、タッチポイントすべてにおいて一貫性のあるブランド展開や、ブランドの“らしさ”を体現した体験・接客を提供し、顧客との継続的な関係性の構築に力を入れます。
 
つまりブランドを確立させることで得た利益を、さらにブランドを確立させるために再投資するのがD2Cであり、D2Cはメーカーやサービサーとエンドユーザーがダイレクトにより深くつながるモデルといえます。
 
 
通販(EC)
D2C
Focus
顧客アプローチの効率性
顧客との関係性
Action
セールス&プロモーション
ブランディング
Term
ショートサイクルで高速回転の繰り返し
短期的売上(/CPAなど)>LTV>ブランド
ロングサイクル中心+ショートサイクル
ブランド>LTV>短期的売上(/CPAなど)
オムニチャネル、O2OからOMOへ
このようにモール型ECから自社EC、 さらにD2Cという段階を経て、ECはよりエンドユーザーとの関係性を深めるビジネスモデルへと進化。オンラインでの商品売買が主流となることで、改めて店舗とECのあり方が見直されています。
 
これまで店舗とECをシームレスにとらえる考え方はオムニチャネル」、「O2O(Online to Offline)」、「OMO(Online Merges with Offline)」と大きく3つにわけられてきました。
現在注目されているOMOは、O2Oやオムニチャンネルがより先へ進んだマーケティング手法と言われ、「オフラインと融合したオンライン」、「現実の世界とデジタルの世界がひとつとなる(境目がない)」概念を指します。
 
オムニチャネルやO2Oは、オンラインとオフラインをわけて考えた上で、顧客の購買行動を促すためにチャネルを連携させる一方向性・企業目線の施策です。
一方、OMOはデジタルデータを起点に、オンラインとオフラインを融合するものです。購買行動だけでなく、顧客のあらゆる体験(UX)を中心に設計、オフラインでの個人の行動を解析したうえで、オンライン上でユーザーに向けてアクションする双方向性が特徴です。
 
現在中国では「スマートフォン1つあれば生きていける」といわれるほどOMOが浸透しており、この流れは日本にも定着するとみられています。このことは日本においても顧客体験を重視するD2Cブランド、OMOモデルが主流となる時代がすぐそこまできていることを意味しています。
 
SWFと九州TSUTAYAのコラボレーションによる日本版OMOモデル
 
 このようなトレンドを踏まえた、SWF×九州TSUTAYAの「STATE OF THE ART」共同プロジェクトは、九州TSUTAYAが有するメディアプロモーション力と六本松 蔦屋書店のリアルな顧客接点、T会員のライフスタイルデータを活用するデータベースマーケティング、さらにD2Cブランド「STATE OF THE ART」の商品サービス、オンラインでのコンテンツが交わり「最高の顧客体験」を実現する仕組みを構築。自社EC型のD2Cブランドが抱える課題をクリアした、アフターデジタルにおける日本版OMOモデルの創造を目指す取り組みとなっています。

2020年6月27日

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